THE WHO “Rock’s Outer Limits” ザ・フー

去年の10月、ツアーを総括するコメントを最後に、5ヶ月間ダイアリーの更新が途絶えてしまいました。いつものことながら、何度もこのダイアリーに訪れくれた方々にお詫びしなければなりません。
5ヶ月の間、ザ・フーのことは忘れていたわけではなく、毎日インターネットでは情報はチェックしていましたが、手元に会員に送られたDVD、CDは開封もせず、机の引き出しにおいたままである状況が、心境を物語っているようです。新譜発売とそれに伴う大掛かりなツアーが完全に終了し、1999年の再始動以来のファンから課せられていたすべての要求を達成したため、当面は休養すると思われました、現実にもドイツでのVWのイベントで公演を行うというサプライズを除いては、今のところフーのメンバーも目立った活動はしていないようです。ピート・タウンゼントはまたアルバム制作に取りかかるようなコメントも出しているし、2月のダイアリーでは新作DVDAmazing Journeyのプロモーションもかねて秋頃、日本でコンサートを行うかもしれないとも書いています。大掛かりなツアーは行わないが、サマフェスへ参加する可能性があるとも。
再始動以来、特に新譜発表ではなかなかことが進まず、イライラしたことも多かったのが、力作を発表してくれたし、大規模なツアーを2000年、2002年、2005年〜2006年と3回も行い、特に3回目のツアーは2年越しで、リーズ大学で再演や、グラストンベリーを始め数々のロックフェスティバルで名演を残してくれました。もちろん忘れてならないのは2004年ロック・オデッセイでの横浜、大阪でのなんとデビュー39年にして初めて日本公演、横浜でのギタークラッシュは今でもピートの最後のパーフォーマンスとなっています。来年もトミー40周年のイベントを予定があるそうで、今年も前述のとおり完全休業ではないようですので、もちろん注目はあるのですが、さすがにひとやま超えた感は否めません。日本公演での本物のロックを体現した、見事な演奏を自分や身近な人間がしたかのように自慢げに感じたり、喜んだり、フーやピートの周りで起きることを自分の身に起きたかのように思えていた時間がどんどん短くなっていく中で、(それが当然のようになるのが、あまりにも遅過ぎたわけですが)あとひとつだけ彼らに実現してもらいたいのは再度の日本公演です。それも単独公演ではなくて、ロックフェスティバルという形で。前回公演後は、次は単独公演でという声が圧倒的に多かったようですが、今にしてみるとあれは正解だったと思っています。人気が無い、マイナーだとフーは言われ続けてきましたが、全くフーことを知らないファンが引き込まれてライブを堪能しているのを目の当たりにしました。大阪ですぐ後ろにいた女性達は「見た目はおじいちゃんなのに凄いね」と感動していました。おじいちゃんは余計でしたが、あの比類の無いサウンドの洪水を体験した方がいいのは、私たちのような昔からファンではなく、若いロックファンの方かもしれません。若いロックファンにアピールするだけのバンドと楽曲の魅力はまだまだ備えているからこそ、前回の公演が多くの人に感動を与えたのだと思うし、フーの代わりのバンドは世の中に存在しないのです。フーのようなテクニックとワイルドな部分とを兼ね備えるのは奇跡に近いことで、こういった路線を目指すミュージシャンからは、やってみてつくづく雲の上の存在であることがわかるのです。U2のボノがフーのロック殿堂入りのスピーチで、hate と言ったのは、そういう意味で発言したと、私は理解しています。日本公演の一つの目的は新しいDVDのプロモーションとのことですので、それには大きなイベントに参加した方が効果があるでしょう。そして日本公演は私にとっては特別です。元々ロンドンやニューヨークでフーを見ることが夢だったわけですが、それは1997年と2006年に夢がかないました。2004年に来日したときはもちろん喜びましたが、せっかく海外まで見に行った甲斐が半分なくなるような気持ちであったことも事実です。しかしながら今は世界のどこで一番フーのライブを見たいかというと、迷うことなく日本と答えます。共有感というか一体感を強く感じることができるし、めったに見ることができないフーのファンを大勢会えるだけでも楽しいです。こういった先生キャラバンドって、けっこう日本人は好きなんじゃないかとも最近、思えて、ライブによって新たなファンを開拓のではないでしょうか。
ピートのダイアリーでは日本でのライブは秋頃と言っており、また一番重要なザックとピノのスケジュールが合うかどうか全くわかりませんが、日本でのライブ、ロックフェスティバル、大きなプロモーション効果と3つの条件を満たしているものといえば、あのフジロックフェスティバルしか他にありません。単なる思い込みに終わる可能性も高いですが、当面はフジロックフェスティバルの今後、順次発表される出演アーティストに注目です。