THE WHO “Rock’s Outer Limits” ザ・フー

少し古い情報になりますが北米ツアー4公演が追加され、更にメキシコ公演が3月17日に決定しました。追加された公演は3月中のものであり、北米ツアー第3レグにあたります。第2レグは12月11日のColumbus公演で終了し、クリスマス休暇に入るものと思われます。第2レグも既に22公演中16公演が終了し、残すことわずか6公演で、そろそろ9月16日以来2回目のボストン公演が始まろうという時間帯です。オフィシャルのビデオで11月20日の公演のババ・オライリーがアップされていますが、二人とも好調のようです。その証としてロジャーがまたもマイクを観衆に向けて肝心のパートを歌っていません。エンディングもいつもパターンはお構いなしで演奏しています。ロジャーはグレーのシャツをジーンズに入れてのパーフォマンス。以前のブルーのシャツ出しファッションによりはるかに格好いいです。まだまだ立派なスタイルを保っているのがはっきり分かります。それにしても6月から始めて今年だけで61公演も行うとは当初は想像もできませんでした。第3レグが今の予定だと2月23日からですので、今回のブレイクは2ヶ月以上になります。今から2月23日以前の公演が発表されるとは考えにくいので、前への変更はないと思われます。3月13日のタンパを最後にいよいよ初めての南米公演、メキシコシティのみ現在発表されていますが、果たして他にどの国で公演を行うのか発表が楽しみです。3月は南米公演が主体となると思われますので、これで日本公演は早くても4月以降になることが、ほぼ確実になりました。前回ダイアリーの抜粋を載せましたが、その後更に追加され、その中でロシア公演と多分と前置きし中国公演も行うと書いています。よっぽど印象に残っているのか更にマドリッドでのファンの熱狂についてふれています。これまでヨーロッパの一部の国と英米しか回っていなかったグループが、60過ぎて24年振りに新しいアルバムを出し、そのプロモーションも兼ねて世界中をツアーして回るとは、驚きです。ピート曰く「これは最後のあがきではなく、始まりだ。ただ単に新しい曲と古い曲を皆に聴いて、楽しんでもらいたいんだ。私とロジャーは今でも最高の状態で(fit and strong)あり、それが自分達の自己満足に終わってもこれから波を起こさんとしている。」これほどファンを勇気付けさせてくれるほどの、自信と希望に満ちたコメントは無いでしょう。
遅れているアルバムレビューを再開させます。本当に終わるのか自信が無くなってきましたが。アルバム4曲目のIN THE ETHERはトム・ウェイツ風の曲とよく表現されています。ピートのダイアリーによると作った当初は戸惑いもあったが、レイチェルから賞賛されアルバムのクレジットに載ることになった曲です。新しいダイアリーではオフ・ブロードウェイのStephen Sondheim風(数々のミュージカル等の作曲家らしいです。)であると表現しています。歌唱法が違っているため、最初は確かに戸惑いますが、エモーショナルな仕上がりになっています。ギターとピアノだけのシンプルな曲ですが、ソロアルバムのチャイニーズ・アイズにあるようなドラマチックな展開があり、それがこの楽器だけでできるのはピート・タウンゼントしかいないでしょう。今回のシンプルな曲群は趣向を変えて作ってあるのではなく、フーのクラシックに大胆にも挑戦するかのような印象を受けます。他のボーカルでも聞いてみたくなるような、静かな迫力のある曲です。
そしてBLACK WIDOW’S EYES。ザックが唯一参加した曲。但しクレジットではベースはピノではないため、おそらくピートが弾いていると思いますが、このためアルバム中、現ツアーメンバーで揃ってレコーディングした曲は1曲も無いことになります。いくらサポートとはいえ、4年間一緒にやっているメンバーですから、それがバンドとして演奏した曲が1曲も無いというのは、異常といえば異常です。今のところバンドとしてレコーディングされた曲はOLD RED WINEだけとなります。(ちなみにREAL GOOG LOOKING BOYのベースはグレッグ・レイク)聞く人が聞けば分かるのかもしれませんが、曲がおとなしいだけあってザックのドラミングは他の曲のドラムとは全く違うというほどの印象はありませんでした。(こうやって何度か今聞いていると独特のタッチは感じますが)それがかえってアルバム全体としてはプラスになっているのかもしれませんが。それでもWIRE&GLASSはザックのドラムで聞けたら良かったのにと、今更ながら悔やんでしまいます。この曲は9月18日のMSG1日目の公演で演奏され、初めて耳にした曲でしたが、とても美しいコーラスがとても印象的でした。曲のテーマはスットクホルム症候群について歌ったものとされています。2005年ロシアで起きた学校を占拠したテロ事件に触発され書いてものとローリング・ストーン誌のレビューには書いてあります。コードがいかにもピートらしい、ザックが参加したアルバム中最も完成度の高い曲のひとつで、美しいメロディラインにフー独特のコード進行がテロリストへ恋を歌った曲に結実したのは、ラブソングなのか果たしてプロテストなのかは分かりません。
次の曲はやっとで6曲目のTWO THOUSAND YEARSはロジャーのお気に入りのひとつとか。ギターにボーカルとオーケストレーションだけの曲。マンドリン又はバンジョーの音が面白い。またも宗教的なトピックで一見明るい感じの曲だが、歌詞は見方によっては禁断の領域に踏み込んでるかのよう。レビューの中にはincompleteとの表現も見ましたが、デモのような手作り感覚があり、個人的には今のところ好きな曲のひとつです。
7曲目はGOD SPEAKS OF MARTY ROBBINS。スクープ3でインストバージョンが既に発表済みの曲。個人的には聴いたことはまだありませんでしたが、それに歌を加えて何故フーの新譜の中で発表したのか。このアルバムがフーのアルバムであり、ピートのソロアルバムでもあると言われる所以か。それでも聴いていて気持ちの良いギターワークとメロディ、文句は全くありません。
8曲目、IT’S NOT ENOUGHは問題作です。何故なら作曲がレイチェルとの共作だからです。いつかはこういう日がやってくるとの予感はありましたが、まさかこの作品でいきなりとは。しかもダイアリーを読むと前回も書きましたが、レイチェルが作った曲にピート・タウンゼントがギターパートや歌詞に手を加えて完成した曲です。原曲がどれほど変わったのかは興味がありますが、それでも実質的にレイチェルの曲がフーのアルバム名義で発表されたことになります。しかも曲はどこから聞いても勇ましいタイプのフーの曲以外の何者でもありません。ラジオで何度もプレイされるような曲を念頭にレイチェルにまず作曲させたそうで、彼女は途中で興味がなくなり欠けたのをピートが完成させました。曲は変わった目的で、変わったプロセスを経て出来上がりましたが、ロジャーのボーカルも迫力十分で、全編に響き渡る最近はシングルノートの演奏に心がけているというピートのギターがとにかく決まっています。シングルノートでもパワーコードを叩き込むような演奏をしているのは彼らしいです。
9曲目はYOU STAND ME。またもピートの弾き語り作品。この曲だけは間違いなくひねりの無いストレートなラブソング。ダイアリーによると新作だそうです。1分40秒あまりの非常に短い曲です。ギターパートもメロディの一部も聴いているとサイモン&ガーファンクル風に聞こえます。アルバム中目玉となるような作品ではありませんが、しかも2曲目のピートの完全な弾き語りでありながら、何故か飛ばすことなく聞き込んでしまうような、魅力は感じます。
次回WIRE&GLASSをレビューと総括、又は別の日に総括してレビューを終了する予定です。
(NEW ALBUM REVIEW PART5終了)
ザ・フー 2006 ツアー日程
ヨーロッパツアー(23公演終了)7/6のHedgestookを含む
北米ツアー第1レグ(18公演終了)
10/29 London Roundhouse
北米ツアー第2レグ日程(22公演中16公演終了)
Nov 04, 2006 Los Angeles Hollywood Bowl
Nov 05, 2006 Los Angeles Hollywood Bowl
Nov 08, 2006 San Jose HP Pavilion
Nov 10, 2006 Las Vegas Mandalay Bay
Nov 11, 2006 Palm Springs Indian Wells Tennis Garden
Nov 13, 2006 Salt Lake City Delta Center
Nov 14, 2006 Denver Pepsi Center
Nov 17, 2006 Dallas American Airlines
Nov 18, 2006 Houston Toyota Center
Nov 20, 2006 Fort Lauderdale Bank Atlantic Arena
Nov 22, 2006 Atlanta Gwinnett Center
Nov 24, 2006 Atlantic City The Borgata
Nov 25, 2006 Philadelphia Wachovia Center
Nov 27, 2006 Hershey Giant Center
Nov 28, 2006 Bridgeport Arena at Harbor Yard
Dec 01, 2006 Uncasville Mohegan Sun
Dec 02, 2006 Boston TD Bank North Garden
Dec 04, 2006 Toronto Air Canada Centre
Dec 05, 2006 Grand Rapids Van Andel Arena
Dec 07, 2006 Omaha QWest Center
Dec 08, 2006 St.Paul Xcel Arena
Dec 11, 2006 Columbus Value City Arena
北米ツアー第3レグ 現在8公演予定
Feb 23, 2007 Reno Events Center
Feb 25, 2007 Fresno Save Mart Center
Mar 01, 2007 San Diego ipayOne Center
Mar 06, 2007 Indianapolis Conseco Fieldhouse
Mar 08, 2007 Washington Verizon Center
Mar 09, 2007 Atlantic City The Borgata
Mar 11, 2007 Uniondale Nassau Coliseum
Mar 13, 2007 Tampa Ford Amphitheater
南米公演 現在1公演予定
Mar 17, 2007 Mexico City Foro Sol