THE WHO “Rock’s Outer Limits” ザ・フー

Wire & GlassをItunesにて300円で購入、聴いてみました。今回発売されたのは10月(この前までは9月だったのに)に発売されるミニオペラの抜粋版でSound Around, Pick Up The Peace, The Endless Wire, We've Got A Hit, They Made My Dreams Come True, Mirror Doorの6曲になる。Mirror Doorは数週間前にBBCでオンエアーされたのを聞いたが、他は初めて聴くことになる。ザ・フー24年ぶりのスタジオアルバムからのシングルリリース。最初通して聞いた印象は次々とカラーの違う曲が繋ぎ目も短めに、演奏されているというものでした。1曲目、Sound Aroundから威勢のいいロックンロールが響いてきて、もっと落ち着いたサウンドを想像していたので意外に感じました。スピード感が最高で、ライブ栄えしそうです。Pictures of Lilyを髣髴させる出だしのPick Up The Peace、ピート独特のメロディの転換がさえており、ピノのベースも印象的です。The Endless Wireはピートのボーカルによるもの、ラフミックスに入っていそうな曲です。おとなしい曲ですが、スケールの大きさを同時に感じさせます。We've Got A Hitはハードさとポップが同居したフーらしい面白い曲。They Made My Dreams Come Trueはピートのソロで、ダークなメロディで始まる美しいメロディラインのある曲。少しサビの部分がビートルズ風なのか気になります。最後の曲はMirror Door。ロジャーのボーカルは他の曲ではシャウトが冴えていたり、力強かったりでいいのだが、この曲だけは歌いこなせていない感じが何度聞いてもします。ミニオペラの最後を締めくくる重要な曲という位置づけだと思いますが、前の5曲からの流れだと唐突に始まる感じがします。(この辺はフルバージョンを聞いてみないと断言は出来ませんが。)そして曲の盛り上げ方が、どうしても大袈裟に聞こえてしまいます。随所に工夫されているのは分かりますが、生かされていない印象です。この6曲の中では現在のところ最も評価が低くなってしまいました。全般的には前2曲(Real Good Looking Boy, Ole Red Wine)の渋い落ち着いた雰囲気と比べると今回は若返りに挑戦したような曲が多いです。ドラムがザックを起用できなかったことも一因としてあるかもしれませんが、荒削りな曲多く、それがいい方向に作用しているように思う。1曲1曲もかなり工夫して作られており、しかもバラエティに富んでおり、数回聞いただけでは理解は難しい反面、聞き応えを感じさせます。ピートの久々の力作と言ってよいでしょう。サウンドがこれまでのアルバムにたとえるとどれに近いのか考えてみましたが、適当なものが思いつきません。強いてあげるならIt’s Hardでしょうか。それよりも近いのはやはりピートのソロアルバムです。特にサイコデリリクト、他のアルバムは凝っているものが多いですが、シンプルなサウンドでしかもコンセプトアルバムなので、近いものを感じます。実はピートのソロはザ・フーと同じように大好きでが、あのアルバムだけは例外で、シンプルなのはいいのですが、奥行きが感じられませんでした。Wire & Glassにはそのような死角は無いようです。私にとってWire & Glassはザ・フー24年ぶりのスタジオアルバムからのシングルというだけでなく、ピート・タウンゼントのクリエーターとしての音楽業界への復帰を意味する作品となりそうです。
新曲の話題はこの辺にしてピートのダイアリーが7月21日に更新されました。特に重要なことは書いてありませんが、前回ロジャーのボーカルのことを褒めていたので、今度は他のミュージシャンについて言及しています。まず自分自身の演奏が素晴らしいと自画自賛(この表現に誇張はありません)から始まり、ラビットとピノについても賞賛し、ザックについてはツアーの初期は今までの中で最高のプレイをしたが、最近疲れている印象を受けると書いています。最悪のプレイでの彼は素晴らしいとも書いています。配信されるものを見た範囲では感じませんでしたが、18日のフランスでのライブはいつもの迫力を感じなかったので、ザックの不調も影響していたのかもしれません。それでも今のザ・フーにとってザックは不可欠で、不在のため去年1年は休業を余儀なくされたわけですから、できれば彼を刺激するような表現は慎んだ方が良いのではと思うのは私だけか。
次に20日に行われたPaleo Festival, Nyon, Switzerlandについてのコメント。書くことが次から次とあり大変です。配信はLove Reign O'er Me, My Generation, Won't Get Fooled Againの3曲。1曲目Love Reign O'er Meのロジャーの形相が凄い、曲に集中しているのがはっきり分かります。(知らない人がいきなり見たら引きそうなほど)もちろんボーカルそのものも感動的なほど。ピートのギターはシングルノート中心のクラシックなスタイルで、他の会場で演奏されたものとは大分違う印象、今回この曲はロジャーの好調さも手伝い名演が多いだけに、一番とは決め付けにくいですがOne of the Bestであることは間違いありません。My Generationではピートいきなり2連発ジャンプで演奏が始まり、前曲からの勢いを引き継いだような切れ味のある演奏。映し出される観客のノリも凄まじいものがありました。インプロビゼーションのパートは長くなってきていて、発展が見られました。そしてWon't Get Fooled Again。問答無用のバージョン。ロジャーの声が良く出ており、演奏も申し分ない。大迫力のエンディング。ロジャーのシャウトも長かったがそれほど気にならなかった。唯一、シャウト前のザックの一発目のドラミングがしょぼかったくらいか。今回のツアーで最高の演奏ではないでしょうか。終了後のピートの満足げな顔がそれを証明しているかのようでした。
最後にラビットのダイアリーの更新もありました。バンドの絶好調ぶりを伝えています。前回来日した時に再来日することがあっても、その時の演奏を超えることはないだろうと密かに思っていました。インターネットの小さな画面で見ていても、バンドの状態はは2004年を明らかに超えているように見えて仕方がないです。あの横浜、大阪でのパーフォーマンス以上のものはあり得ないとずーっと思い続けていたことが誤算になる可能性もでてきました。
ザ・フー 2006 ツアー日程
17 Leeds University
18 Brighton Centre
25 Wireless Festival - Leeds
28 Ashton Gate Football Stadium, Bristol
30 Werchter Festival - Belgium
JULY
2 Hyde Park Calling Festival - London Hyde Park
3 Beaulieu Motor Museum – Hampshire, England
5 Liverpool Docks
6 Liverpool Docks
8 Oxygen Festival – Naas, Eire
9 T-in-the-Park Festival, Kinross, Scotland
11 Bonn Museumplatz, Germany
12 Berlin Wuhleide, Germany
14 Locarno Moon & Stars, Switzerland
15 Sporting Club, Monte Carlo
17 Vienne Theatre,Antique(near Lyon),France
18 Metz Amneville Arena, France
20 Paleo Festival, Nyon, Switzerland
22 Lovely Days Festival, St Polten, Austria
23 Munsterplatz, Ulm, Germany
26 Palau St Jordi, Barcelona, Spain
27 Sports Palace, Madrid, Spain (CANCEL)
29 Pabellon Principe Felipe, Zaragoza, Spain
北米ツアー日程
Sep 12, 2006 Philadelphia US Wachovia Center
Sep 13, 2006 Wantagh US Jones Beach Theater
Sep 15, 2006 Ottawa CA Scotia Place
Sep 16, 2006 Boston US TD Bank North Garden
Sep 18, 2006 New York US Madison Square Garden
Sep 19, 2006 New York US Madison Square Garden
Sep 21, 2006 Holmdel US PNC Bank Arts Center
Sep 25, 2006 Chicago US United Center
Sep 29, 2006 Detroit US Palace at Auburn Hills
Sep 30, 2006 London CA John Labatt Centre
Oct 03, 2006 Winnipeg CA MTS Centre
Oct 05, 2006 Calgary CA Pengrowth Saddledome
Oct 06, 2006 Edmonton CA Rexall Place
Oct 08, 2006 Vancouver CA GM Place
Oct 10, 2006 Portland US Rose Garden
Oct 11, 2006 Seattle US Key Arena
Nov 05, 2006 Los Angeles US Hollywood Bowl
Dec 04, 2006 Toronto US Air Canada Centre