THE WHO “Rock’s Outer Limits” ザ・フー

スイス、ロカルノでのフルコンサートが10ドルで放映されました。曲目はI Can't Explain, The Seeker, Anyway Anyhow Anywhere, Who Are You, Behind Blue Eyes, Real Good Looking Boy, Greyhound Girl, Mike Post Theme, Baba O' Riley, Naked Eye, Relay, You Better You Bet, My Generation, Won't Get Fooled Again, Substitute, Pinball Wizard, Amazing Journey, Sparks, See Me Feel Meの25曲。Moon & Starsというフェスへの参加。スイスのサマーフェスなので、景色の良い野外でのライブを想像していましたが、歴史的建築群に取り囲まれる広場でライブだったのに、まず驚きました。建物が曲毎に美しくライトアップされ、このような古い町並みの真中でフーの曲が演奏されるのはめったに見られないことで、フルコンサート放映になった理由もそこにあったのだと思います。このフェスは1週間行われており、1日1メインアクト形式になっているようです。他にDepeche Mode, Eric Clapton, Bryan Adams, Roger Watersという他のフェスでも一緒だった面々も出ています。会場の雰囲気的にはフーの反抗的でラジカルな演奏よりはEric ClaptonやRoger Watersあたりのアダルト系(?)が似合いそうです。それでもBaba O' Rileyでのライティングなど、ここでしか味わえない雰囲気を堪能できました。
ライブ開始当初は大変な大雨でしたが、しばらくしたら雨も止み安心しました。レイチェルのダイアリーや2chオーディエンスによるとそれだけではなく、雷も凄かったらしく、観衆は大変だったようです。チケットが完売になっていないとの情報もありましたが、映像で見る限り広場がほぼ埋まっていました。コンサート全体としては、観客を楽しませるのに十分な演奏だったと思います。個人的にはハイドパークで演奏されなかった曲も多く、回りの光景(建物、ライティング、バルコニーからの見物人)に目がとられてしまい、全体の印象がうまくまとまりません。ロジャーが大胆にもSee Me Feel Meの後半部分を歌わずに観客にマイクを向けるくらいですから、客をかなりキャッチしていたのではと思われます。演奏が良いかどうかだけではなく、曲がこの雰囲気にあっているかどうかも気になってしまいました。
個別の曲の印象ですが、I Can't Explain―他のコンサートで見られたような強烈なものではなかったが1曲目としては十分な演奏, The Seeker―それほどメジャーな曲ではないのに客のノリが良かった, Anyway Anyhow Anywhere―いつもよりロングバージョンで初めてその部分を聞きましたが、このために練習したかのようにかっこよく出来ていました, Who Are You―ザックが珍しく一緒に歌っていました, Behind Blue Eyes―名曲なのでもちろん喝采を受けていましたが曲後半の強引な展開が果たしてこの会場にあっていたのか不明, Real Good Looking Boy―少し受けが悪かったような, Greyhound Girl―ピートのソロ、まさかこの曲が演奏されるとは、ライフハウスコンサートでもMaryとともに最も心に染み入る曲で大好きです。ピート版My Wayという感じでしょうか。何か自分に取り付いて離れないものが溶けて流れていくような感覚を聞いているとおぼえます。譜面台まで持ち込んで明らかにリハーサルが十分ではなかったようです。今回のソロバージョンは完成途上のようです。ギターの演奏部分に華が少ないため、キーボードを入れた方が良さそうです。 Mike Post Theme―サビの部分をロジャー歌い間違えた(と思う)のが惜しかった, Baba O' Riley―随所に見せるピートのギターが決まっていました, Naked Eye―久しぶりに聞くバンドバージョン。82年のトロントでもアンコールで演奏していました。ライブの必殺バージョン, その激しくて長い演奏は24年経った今でも変わっていませんでした。それどころか凄みを増したような。Relay―本当に今回のRelay、かっこいいバージョンに仕上がっています。2000年にダラスとヒューストン見たときは調べてみると両会場で演奏されていましたがほとんど記憶に残っていません。ショートバージョンだったのでしょう。ロジャーの手拍子も最高です。こうやって聞いてみると特にイントロメンタルパートはエミネンスフロントに似ているような。 You Better You Bet―ライブではこの曲には多くは期待しませんが、かなり盛り上がっていました。演奏もタイトで申し分ない。今回のツアーの中で最高の演奏では。 My Generation―Old Red Wineが外されてからその後、展開がどうなっているか注目していましたが、それほどの進展はありませんでした。観客は大変なノリでしたが、古い町並みに響くピート・タウンゼントが20歳の時に作った過激な歌詞、サウンドは,不思議な異様なものでした。 Won't Get Fooled Again―まとまりのある演奏でした。ピートのギターが要所要所で完璧でした。ロジャーのシャウト、声といいエフェクトといい良かったです。しかしまだシャウト引っ張りすぎで、最後声が小さくなっていくところまでマイクに入ってしまうのは,曲だけではなくコンサートのハイライト部分なので、これは絶対変えた方がいいと思います。このシャウトと聞くと82年トロントでのライブビデオに収められていた、フーが終わったことを象徴するかのようなシャウトが段々スローになりフェードアウトしていくシーンを思い出してしまいます。 Substitute―観客の手のひらをひらひらさせるようなあまり見たことがないアンコールで、ステージに再登場。 Pinball Wizard, Amazing Journey, Sparks, See Me Feel Me。トミーメドレー、もちろんライブのクライマックスを飾る感動的な演奏でしたが、ピートがAmazing Journeyでいつもより早くバードマンポーズをしたために、Sparksではその代わりに筋肉マンポーズをしていたのには笑いました。そのせいではないでしょうがSparksのスパーク度はいつもよりは下回っていたような。さて問題のSee Me Feel Meですが、静かに始まるこの荘厳な曲はこの会場にぴったりで、出だしもためが十分に入り、名演の予感十分でした。この曲は構成が単純なだけに、理想的な演奏するのが逆に難しく、曲間のソロを一度でも外してしまうと、台無しになります。それも今回は問題ありませんでした。ピートもこの曲の場合、ウィンドミルは最小限抑えて、演奏に集中したほうが良さそうです。ところがロジャー最後のボーカルのひとつ前でワンコーラス歌わずに、観衆へマイクを向けてしまいました。それだけの盛り上がりが会場ではあったと思いますが、さすがに音源という観点ではもったいないことをしたと言うしかありません。次に期待しましょう。
北米ツアーの記者会見は時間がなく、まだ途中までしか見ていません。公表記事を見るとはっきりと2007年に南アメリカ、日本、オーストラリア、ヨーロッパを回ると書いてあります。1年間有効のプラチナカードも発売されていますし、これで余程のアクシデントでもない限り日本公演は確実になったといっていいでしょう。
ザ・フー 2006 ツアー日程
17 Leeds University
18 Brighton Centre
25 Wireless Festival - Leeds
28 Ashton Gate Football Stadium, Bristol
30 Werchter Festival - Belgium
JULY
2 Hyde Park Calling Festival - London Hyde Park
3 Beaulieu Motor Museum – Hampshire, England
5 Liverpool Docks
6 Liverpool Docks
8 Oxygen Festival – Naas, Eire
9 T-in-the-Park Festival, Kinross, Scotland
11 Bonn Museumplatz, Germany
12 Berlin Wuhleide, Germany
14 Locarno Moon & Stars, Switzerland
15 Sporting Club, Monte Carlo
17 Vienne Theatre,Antique(near Lyon),France
18 Metz Amneville Arena, France
20 Paleo Festival, Nyon, Switzerland
22 Lovely Days Festival, St Polten, Austria
23 Munsterplatz, Ulm, Germany
26 Palau St Jordi, Barcelona, Spain
27 Sports Palace, Madrid, Spain (CANCEL)
29 Pabellon Principe Felipe, Zaragoza, Spain
北米ツアー日程
Sep 12, 2006 Philadelphia US Wachovia Center
Sep 13, 2006 Wantagh US Jones Beach Theater
Sep 15, 2006 Ottawa CA Scotia Place
Sep 16, 2006 Boston US TD Bank North Garden
Sep 18, 2006 New York US Madison Square Garden
Sep 21, 2006 Holmdel US PNC Bank Arts Center
Sep 25, 2006 Chicago US United Center
Sep 29, 2006 Detroit US Palace at Auburn Hills
Sep 30, 2006 London CA John Labatt Centre
Oct 03, 2006 Winnipeg CA MTS Centre
Oct 05, 2006 Calgary CA Pengrowth Saddledome
Oct 06, 2006 Edmonton CA Rexall Place
Oct 08, 2006 Vancouver CA GM Place
Oct 10, 2006 Portland US Rose Garden
Oct 11, 2006 Seattle US Key Arena
Nov 05, 2006 Los Angeles US Hollywood Bowl
Dec 04, 2006 Toronto US Air Canada Centre