THE WHO “Rock’s Outer Limits”ザ・フー

子役のトミーは男の子ではなく、小柄の女性が演じていました。ブロードウェイのようにNYで一定期間、公演をする場合以外は外国まで何週間も就学児を連れて行けないという理由だと思います。これは仕方のないことで少年らしさには少し欠けてしまいますが、後半青年役のトミーと一緒に歌う箇所では美しい歌声を披露してくれました。
彼女が登場する場面で青年役と対面するシーン“ドクター”の場面も不可思議で最も印象的な場面のひとつでした。自分の子供時代から歌いかけられたり、見つめられたりするというのは、想像しただけで背筋が寒くなりそうですが、なにか不気味でもあり、自分にもしそのことが起きたら飽きれた顔をして見つめられるだろうなといらぬ想像をしてしまいました。最後のシーミーフィールミーの前には少年役が現れて、トミーを先導するかのようなシーンがありましたが、シンプルだけど説得力がありました。特に少年時代とのからみは重要なテーマではなかったはずだし、オリジナルでも少年時代との対話により、何かが見出されることについて意識されていないと思います。ところが今回ラストで重要な役割を演じさせたことで、(おそらく演出家もこの場面は悩んだはず)新たな一面を加えることができた、作品トミーの進化、変化は全くなかったということにはならなかったし、個人的には三重苦の少年時代(もしかすると健全な少年時代)とコミュニケーションを持ち、先導され、さらに救われたかのような設定の副産物は作品に新たな生命を吹き込む可能性を見せてくれたのは幸いでした。
このミュージカルの企画をしている会社のHPを見るとこの他にいくつもミュージカルのユニットを持っていて、全米や世界中をツアーしているようです。トミーについては秋にツアー(全米のことだと思います。)を行うと書いてあります。ウェブサイトの検索では7月マイアミで公演を行うことが書いてあるサイトもあり、予定が早まっているのかもしれません。キャストも一部変わるようです。ベースは変らないと思いますので、アメリカのフーファンやミュージカルのファンが見て、どうコメントするかも興味があります。
当初このミュージカルを見るひとつの目的は69年に発表されたオリジナルからブロードウェイのミュージカル等これまでの発展を踏まえて、どのような形態し仕上がっているのか興味を持っていましたが、トミーがもし、今後ピートの手を離れて発展を続けるのであればそのひとつの回答又は発展形のひとつであるという評価に至るほどはなかったことは、残念ながら認めなければならないでしょう。それでも一人でも多くの人に見てもらいたいです。私がフーのファンであるという理由だけでなく、他のネガティブな2ch等のコメントも作品がもつ重みや価値自体を否定するものではないと思うし、何かがあのミュージカルの中にあった、感じたことについては、やはり存在したことを前提としてコメントであったと私には感じられました。
しかしながら、もし聞かれたら答えにくい質問がひとつだけあります。その回答は決めてありますが、あえて書かないことにします。皆さんのご想像におまかせします。
また、2004年6月21日付ダイアリーに最近コメントいただいた小池様ありがとうございました。ロンドン在住時に見たフーのコンサートについて思い出、興味深く読ませていただきました。興味のある方はこちらへhttp://d.hatena.ne.jp/morijundrix/20040621#c1141746198