THE WHO “Rock’s Outer Limits”ザ・フー

3月5日はマチネーを見ました。席は4列目で役者の細かい動きや表情などよく分かり、アンプも目の前でしたので、音も1日目よりは大きく聞こえました。2回目になるのでまた違った視点で見ることもでき、別の意味で楽しめました。共通して言えることはまず、飛びぬけた印象の歌唱はなかったが、すべての人の歌唱力は十分といえるものでしたし、また随所に挿入されるコーラスも合唱箇所も完璧に歌いこなしているのは曲ごとに違う展開が要求されるのにも拘わらず、私が見た2日間でほとんどミスらしいミスがなかったのは、素晴らしいと思いました。またミュージカルになったことにより、曲の印象が全く変わったりすることが無かったことも、これは決して当たり前のことと流すことはできないでしょう。バンドの演奏も私には申し分なかったと思います。ステージの2階部分にバンドがいて演奏するスタイルは初めて見ましたが、違和感は全くありませんでした。演奏自体がオリジナルを十分意識して演奏しているので、ファンにとっては曲ごとに感激しながら聞いた人も多かったでしょう。但し音量をもう少し上げてもらえばもっと良かったのですが。今回の公演はツアー用だったそうですが、今までツアー用というのは見たことが無かったので、今回のようにセットが豪華でなかったことが、ツアー用ミュージカルでは仕方の無いことか、とくに今回が貧弱な部類に属するのか分かりませんが、いずれにせよその部分にはかなりがっかりしたことは事実です。シンプルなセットでまた違った魅力とかセンスを感じられれば良かったのですが、難しかったです。演出や照明、衣装についても細かくチェックしたわけではありませんが、全体的に無難なものだったと思います。第2部でのトミーがピンボール・ウィザードを歌うシーンはスクリーンが降りてきた状態で派手な照明がありましたが、あれにはプロの技を感じることはできませんでした。考えてみれば曲が変わるたびに登場人物も変っていくため、小道具もその都度変わるのは原作そのものに関わる部分なので仕方が無いのですが、それを慌しく感じた人もいたのではないでしょうか。また続きは後日書きますが、誤解してもらいたくないのは私にとって今回のミュージカルは決して不満だけを感じたのでなく、新たな発見や問題提起もあり、見に行って本当に良かったと思っています。ネガティブに感じるコメントが多いのはそれだけ期待が大きすぎた反動によるものであって、一人でも多くの人に見てもらいたいことには変わりはありません。もし価値の無いミュージカルであったのなら、終演時にあれだけの人がミュージカル版のCDを購入していたことを説明できなくなってしまいます。