THE WHO “Rock’s Outer Limits” ザ・フー

Live8が終わり1週間近く経つのに、更新が遅れてしまいました。フーの演奏曲目はWAYとWGFAの2曲のみでしたが、ベストアクトの2位又は3位だそうで、いつものサポートメンバーでなかったにも拘わらず素晴らしい演奏を披露してくれました。両サポートも少しドラマーが堅かったような気がしましたが、健闘と言ってよいでしょう。もう1曲演奏する時間があればまた印象はアップしていたと思いますが、次のピンクフロイドに時間を割いたこともあり、その点だけは残念でした。もう1曲ババ・オライリーでも演奏して、CSI組曲で決めてくれたらもっと面白かったのですが。前回ライブエイドでは私の中では別格パーフォマンスでしたが、一般的にはベストアクトの一つといった評価はありませんでした。今回は確かに一部の投票では上位に来たもののそれはロンドンの最後の出演者にひとりだったいうことが、影響しているように思います。他の会場もあわせると150アクトですか、確か、私はネットは時々見るだけで主にスカパーで見ていましたが、一つのライブが終わった途端に他会場のものが放送され続け、10時間ほどあった放送も常に誰かのライブが映っているという、見ているほうも休憩すらとれないというハードなものでした。すべての会場のライブを見るのは、何日もかかってしまうでしょう。これと比べるとライブエイドなんて牧歌的な文字通り前世紀の代物に見えて仕方がありません。DVDレコーダーに録画した10時間分でさえほとんど見ていない状況なのですべてを視聴し、ベストアクトを選ぶなんて愚行はやめにしました。
そこでフーに関してだけの感想をさらに書くと、ピートのギターは1年前の来日時のテンションを保っているし、驚いたのがロジャー、この人ますます声量が豊かになってきているのでは錯覚するほどのパーフォーマンスでした。みんなコメントしていますが、WGFAのシャウトは今まで見た中でもベストの一つではなかったでしょうか。あの箇所だけは喉の調子の悪い時でも上手に決めますが、それにしても今回のものはタイミング、声量、迫力ともに満点でした。80年代中盤にキース・リチャーズから「あいつを一人で歌わせてみなよ」とこけにされていましたが、そんな嘲笑も20年後にWon’t Get Fooled Againと吹き飛ばしてくれました。この2人がこれだけのパーフォーマンスができる限りフーは余計な心配はいらないでしょう。ニューアルバムが遅れていても、完成すればツアーで新曲とヒット曲でまた新しいフーの一面を見せて観客を楽しませてくれるのは間違いないでしょう。それがいつになるかはわかりませんが。
現在のライブスタイルは1999年のラスベガスのライブに原型はあるわけですが、それは80年頃のものとは明らかに違います。激しく演奏はしますが70年頃のようにヘビーではありません。最初は74年頃に近いと思っていましたが、あの頃のような巨大な印象は受けません。もちろん60年代とも全く違うし、今のバンドの演奏は不思議と懐古的なものは感じさせないどの時代とも似つかないものとなっているように感じます。聞いている物に70年代や60年代を思い出せることなく、音楽そのものに浸らせることができるマジックは何か考えていますが答えはまだ出てきません。またこのことでアイデアが浮かんだらコメントしたいと思います。