THE WHO “Rock’s Outer Limits” ザ・フー

ピート・タウンゼントが最後のダイアリーを記したのは、日本公演から約3ヶ月半経った、11月10日でした。そのときの内容は新しいプロジェクトのこと、新譜を春に発表するとかファンにフーの今後の活動について期待を十分持たせる内容でした。その後レコーディングの情報がまったくなかったのでどうなっているのか心配していましたが、3月21日の久しぶりの更新されたダイアリーはこれまでの危惧が現実化したものになってしまいました。
The new Who album has been delayed, not cancelled. The release date I had hoped for in the late spring or very early summer was whipped from under my nose after three years of writing.
新譜は遅れていて、予定の時期にはやはり間に合わないそうです。
Shows we hoped to do in the early summer seemed to fizzle, and we lost our drummer to Oasis until January 2006. All alternatives proposed, and which I have desperately considered, do not fit in with my current commitments.
初夏に予定していたライブは宙に浮き、更にザックはいつまで経っても始まらないレコーディングに痺れを切らしたのか、来年1月まではオアシスのドラマーとして活動することになった。代わりのドラマーを検討したが、現在のプロジェクトに合わないと判断したということは、つまり来年1月以降しか正式なレコーディングもライブもできなくなってしまった見ることができます。他のドラマーのサポートで今年は活動をすることも少しは考えられますが、ザック抜きでの活動は控えるべきだというのはほとんどのファンの一致した見方だと思います。まだ3月なのにフーとしての活動が今年1年なくなったとも思えるこの文章には失望してしまいました。去年の今頃の来日騒動と比べると段違いです。ロジャーとどれだけ協議して、この文章を書いたのか分かりませんが、唐突にHP上で重要なことを発表したのなら、軋轢を招かないよう今からでも遅くないので今後についてよく話し合いをしてもらいたいものです。
I am committed to record the music for my new story The Boy Who Heard Music. I am also completing my autobiography later this year. Sadly, this forces a postponement of the planned Who activity this year for some indeterminate time.
新譜や自叙伝執筆への意欲は失っていないが、ザックの件はフーの活動を不特定の期間、休止せざるを得ない。それをピート本人がどれだけ認識していたのか、疑問です。
I had lots of plans, but no hard schedule. And that is what has created this predicament. It’s probably my fault, because I work very slowly in the studio, and either no one believed I was actually recording, or they got tired of waiting. I should say that Roger has done what he calls sketch vocals on several tracks I produced, and the results are very exciting.
ペースが遅いのでレコーディングをしていたのが誰にも分からなかったとか、ロジャーと作ったデモのようなものはいい出来だったとか、今更言われても遅すぎました。新譜も含めて色々なプランを持っているそうですが、素直に受け取れない気分です。
But I feel I can’t tour any more with the Who without a new record. So until that record is actually in my hands, I must hold my breath and live in hope.
新譜を発表しないで、ツアーをする気分ではないと書いていますが、前回のダイアリーは各メディアでもフー新作発表と大々的に取り上げられてだけに、当然のことだと思います。個人的には2002年のツアーでさえ、新しいマテリアルもないのに何故行うのか、疑問を持ったくらいなので。
今回こういった事態を招いたのは、ピートは自分の責任かもしれないと書いていますが、自分のペースの創作活動を実践するためにはやむを得なかったでしょうから、ピートだけを責めることはできませんが、すべてのメンバーがピートの重い腰をあげるまで待っていた時代とは、サポートメンバーが複数いる今は、全く状況が異なることは認識しなければならないでしょう。ザックは確かにメンバーにも等しい重要な存在ですが、今回オアシスとの活動を選択したことは彼なりの判断ですので、尊重したいと思います。ザックも順調にレコーディングが進んでいたら、参加する準備は整っていたはずです。
フーが活動を本当の意味で再開し、続けていくためには、他のサポートメンバーも入れながら、ザック抜きでは考えられないながらも、状況に応じての活動が必要になっていると今回のことで、痛感しました。それができなければ同様のことを繰り返してしまうでしょう。一旦は活動延期ともとれるコメントを出したものの、このダイアリーを発端に近いうちに予想されるピートとロジャーの言動には注目し行きたいと思います。