THE WHO "Rock's Outer Limits" ザ・フー

ニートという言葉を最近よく目にする。仕事もしない、学生でもない無業者を意味する。今回の労働力調査で初めて集計され、その数の多さ(15歳〜35歳未満フリーターの数、217万人、ニート52万人)も手伝ってか、大きく報道された。昨日は16歳から20年間引きこもりの男性が両親を殺害した事件が起きた。引きこもりとニートは同じものではないが、過去にも近い意味を持つ言葉が表れては消えている、例えばコクーンとか。こういった言葉はしばらくすると使われなくなり、また新語が作られている。その新語は以前あったものと全く同じ意味ではないかと思うものもよくある。今回のニートは元々イギリスで作られた言葉らしいが、日本で定着するかどうか最近は日本語での読み替えも他の言葉で進められているので、疑問は残ります。
言葉が定着するかどうかよりも重要なことはこれだけの数のニートが全国に存在することである。フリーターでも学生でもない若者が52万人か。世の中、ますます悪くなる一方に思えて仕方がない。これで外国人労働者でも受け入れ始めるとこの人たちの立場はもっと窮地に追い込まれてしまうだろう。ニートは元々職業訓練も受けていない人も指しているが、日本の場合、公的な職業訓練は一旦会社等で働いていた時期がないと原則として受けられないため、ニートの場合ほとんどこういった機会に恵まれないことは、就職の機会を無くしてしまうので、国はこれから若者や中高年者の実効性のある職業訓練について、もっと力をいれなければならないだろう。「実効性のある」ことを行う事を政府は一番、苦手としており、予算だけ計上しても無駄遣いではないかという記事もよく新聞で目にする。職業訓練のような政府が本腰を上げないとできないような政策は、日本の場合どうしても効率的になりにくいのが現状です。また職に就くことの意義についてまた意欲を持つことについてのセミナーやカウンセリングと併用することによって、一人ずつでも数を少なくしていくしかないだろう。
ニートの男女の比率は分からないが、おそらく男性の数が圧倒的に多いのではないだろうか。私も今若者と呼ばれる世代だったら、ニートの一人になっているような気がして仕方がない。一応定職には就いているが、気持ちはどうもニートに近い。使命感や意欲を持ってできる職種とそれが非常に難しい職種と現実にはあり、本人にとって目の前に後者にしか分類できない職しか提示されなければ、モチベーションを強く持てと言われても限界があるだろう。
そういった現実問題に対し、このblogのテーマに沿って音楽は何をできるか考えると、残念ながらほとんど無力に近いだろう。音楽を聴いたり、ライブで興奮している時はいいのだが、その時の感動も時間と共に消え行く運命にある。今の若者の気持ちを代弁したり、社会の問題を取り上げるのは現在活動しているバンドやミュージシャンであるべきだか、ザ・フーピート・タウンゼントも若者の持つ悩みや十代特有の問題を最も真摯に取り上げ、直面してきたミュージシャンの一人だと思います。デビューして40年近く経つのに、彼らの現在での存在意義も世代こそ違うが若者へのメッセージや励ましである部分は変わっていない、もしトミーのジャケットのピート・タウンゼントだけが理解を示してくれると感じ、また彼らから常に励ましをもらうことにより、いつかは現状を変えられる可能性を信じているニートの若者が、かなり少数でしょうが、いたとしても不思議ではないと思います。音楽で世界を変えることを夢見たイギリス人が幾度もの挫折と苦悩を乗り越え、強靭な精神力で横浜と大阪のステージに立っている姿は、音楽の力を無力と書いた自分を恥ずかしく思わせるほどでした。音楽にあまりに真摯に対峙しすぎ、神経をすり減らし、更に常にひとつひとつの言動が若者の注目を浴びて、影響の大きさにつぶされそうになりながらも、基本的な若者への姿勢を崩さなかったミュージシャンの生き様は、音楽は本当に無力なのかの問いかけに、自分が出す結論はいつもネガティブなものなのに、一瞬感じることのある閃きは本当にただの錯覚に過ぎないのか未だに自問自答を繰り返してしまうのです。